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種々の学問や数学・情報教育について考えるブログ。
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R. E. スキャモンは1930年に発達曲線を示した。

四大組織――神経型、生殖型、リンパ型、一般型
それぞれの型によって成長の勾配が異なることを示したグラフである。

ここで、一般型に属する骨格、筋肉、内臓器官などは、
生後2年ほどで急激に伸びた後、思春期に再び急成長する。
この現象を思春期スパートと呼ぶ。

この二段階成長は他の生物には見られない人間の特徴だ。


このことからも、人間は、長く安定した子ども時代があることがわかる。





[参考]

図解雑学 発達心理学 ナツメ社 山下富美代・他
http://www.amazon.co.jp/%E7%99%BA%E9%81%94%E5%BF%83%E7%90%86%E5%AD%A6-%E5%9B%B3%E8%A7%A3%E9%9B%91%E5%AD%A6-%E5%B1%B1%E4%B8%8B-%E5%AF%8C%E7%BE%8E%E4%BB%A3/dp/481633212X

河野矯正歯科医院 Scammon の成長曲線
http://www2u.biglobe.ne.jp/~sucre/22_kiso/6_gro/170713b.htm

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今回は、赤ん坊の話。


人間の赤ん坊は、他の動物と大きく異なる。
例えば、幼児体型と呼ばれる等身比の小さな体型は、他の動物には見られない。


生物学者のアドルフ・ポルトマンによる、
人間の等身比の変化を表した図は、有名だ。


彼は、他にも、動物と人間との比較を行っていて、
例えば、出生直後、未熟なために親の世話が必要な動物と、
多くの期間や能力が成熟して生まれる動物とを、以下のように分類している。

離巣性就巣性
熟度成熟未熟
妊娠期間長い短い
母体の負担大きい小さい
出生数少ない多い



しかし、人間の場合を考えると、離巣性と就巣性、どちらも当てはまりきらないことがうかがえる。


そこで、人間は、二次的就巣性という分類がされている。

二次的就巣性
熟度運動能力未熟
感覚器官成熟
妊娠期間長い
出生数少ない




そして、母体の負担を軽減させるため、運動能力は未熟なまま早めに産む形が選択された。

これを生理的早産と言い、個体の生存の観点では不利ではあるが、
脳を大型化するためにはやむを得ない選択だったと考えられている。


人間の生物としての側面は、なかなか奥深いものがある。




[参考]

図解雑学 発達心理学 ナツメ社 山下富美代・他
http://www.amazon.co.jp/%E7%99%BA%E9%81%94%E5%BF%83%E7%90%86%E5%AD%A6-%E5%9B%B3%E8%A7%A3%E9%9B%91%E5%AD%A6-%E5%B1%B1%E4%B8%8B-%E5%AF%8C%E7%BE%8E%E4%BB%A3/dp/481633212X

Wikipedia - 2009.05.21アクセス
http://en.wikipedia.org/wiki/Adolf_Portmann



乳幼児期、児童期、青年期、壮年期、中年期、老年期。


R.J.ハヴィガーストは、
各発達段階において達成を期待される課題を発達課題と呼んだ。

その後、E.H.エリクソンなども種々の発達課題を提示している。


どのような発達課題を採用するか、という問題はあるにせよ、
社会への適合とそれに対する発達状況を客観的に把握するための指針として、
発達課題という概念を導入することは意義があるだろう。


しかし、だからと言って、望ましい発達とは、単に早く必要な機能が発達することではない。




自分に適した早さで発達していくことである。




ピグマリオン効果/ゴーレム効果などの現象が指摘されているように、
学習者の学習状況に対して、周囲が、
何らかの期待や失望の念を抱くことは必ずしも良いことではない。
特に、学習者に対してマイナスのレッテルを貼ったり、
学習者の人格を否定したりするようなことがあってはならない。

人間は、他の動物よりも学習に対する柔軟性が高く、
ある時期に学習の機会を逸したとしても、その後の学習によって十分に改善され得る。

成熟優位説のエントリでも述べたように、
年齢相応に発達しているかどうかという観点で第三者が学習者の学習状況に介入する際は、
慎重に検討した上で判断される必要があるだろう。




[参考]

図解雑学 発達心理学 ナツメ社 山下富美代・他
http://www.amazon.co.jp/%E7%99%BA%E9%81%94%E5%BF%83%E7%90%86%E5%AD%A6-%E5%9B%B3%E8%A7%A3%E9%9B%91%E5%AD%A6-%E5%B1%B1%E4%B8%8B-%E5%AF%8C%E7%BE%8E%E4%BB%A3/dp/481633212X

Wikipedia - 2009.05.20アクセス
http://ja.wikipedia.org/wiki/発達課題
http://ja.wikipedia.org/wiki/ピグマリオン効果



誤解なきよう、初めに書いておくと、
この成熟優位説は、現在では否定されている


A.L.ゲゼルが1956年に一卵性双生児に対して行った実験より導き出された説で、
発達のための必要条件が「生理的・身体的な成熟である」とする説。


歳を重ね、生理的・身体的に十分発達してからでないと、
学習の効果が出ない、という考え方だが、これは誤りで、
現在では、発達は様々な後天的な経験や学習、環境の変化などによって影響を受ける、と言われる。

理由としては、野生児の言語や社会性の発達の遅れなどがよく挙げられる。


これは私見だが、このことは、裏を返せば、
生理的・身体的な成熟が伴っていても、諸々の経験・学習、環境条件等によっては、
素直に学習が進行しないことを意味しているのではないか?



かつて、道徳の授業の性差別問題に対する教育の一環として、
私は、おおよそ次の内容のような教育を受けた覚えがある。


同じ「らしく」という語でも、
「男らしく」や「女らしく」は差別的な言い方である。
「中学生らしく」は、差別的な言い方ではない。



確かに、「中学生らしく」というのは、男女差別の観点では問題はないのかもしれないが、
上述の成熟優位説に対する私の考えに基づくならば、
中学生と言えど、諸条件によっては、
一般的に年齢相応と考えられる行動ができるとは限らないのではないか、と思われる。

複雑な教育環境に置かれがちな昨今の子ども達に対して、
「もっと上級生として……云々」というような指導方法は、
ひょっとすると、今後、個別の事例に応じて注意を要することになるかもしれない。


もちろん、そう言うものに対する行き過ぎた懸念が教育を圧迫する可能性は否定できない。
年齢相応の社会性について子ども達に問いかけ、考えさせることは意義のあることだし、
言い方や言うタイミングというものに慎重な判断が必要になる、ということだろう。




[参考]

図解雑学 発達心理学 ナツメ社 山下富美代・他
http://www.amazon.co.jp/%E7%99%BA%E9%81%94%E5%BF%83%E7%90%86%E5%AD%A6-%E5%9B%B3%E8%A7%A3%E9%9B%91%E5%AD%A6-%E5%B1%B1%E4%B8%8B-%E5%AF%8C%E7%BE%8E%E4%BB%A3/dp/481633212X

慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス 渡辺利夫 認知モデル論
http://web.sfc.keio.ac.jp/~watanabe/
http://web.sfc.keio.ac.jp/~watanabe/cog7.htm


Growth Psychology, あるいは、Psychology of Human Growthかな。


日本語で、発達心理学。



一般にはあまり聞きなれない学問ではあるが、どんな学問なのか。




発達心理学における「発達」とは、広義には、加齢に伴う変化全般を含み、
後退的な変化も「発達」に含めるが、この時、気をつけなければならないのが、
「歳を取ればありとあらゆる能力が落ちる」とは一概に言えないことだ。

もちろん、「加齢に伴う種々の能力の低下をどのように受け入れるか」は、
心理学上の重要なテーマではあるが、
例えば、作家や学者、政治家なんかが経験を積んで老年期以降に大成する例もあるように、
経験値が重要なウェイトを占める領域では、能力が漸進的に発達しうる。
(……なんか、学者や政治家って例がイメージ悪いけど(汗))


まぁ、何にしても、
人は生涯にわたって発達し続ける、という生涯発達の考え。これが大事。



研究方法は、次の表のように分類できる。




生態学的実験的






縦断的横断的





ただし、いずれも一長一短であり、どれが良いというわけではない、し、
研究内容に合わせて、適切な方法を選ぶ必要がある。



上表に、生態学的アプローチというものがあるように、
人間の生物としての特性を考慮することはもちろんであるが、
一方で、人間を人間として見るためには、人間の社会性に注目する必要もある。

多方面からのアプローチが必要で、なかなか難しいところも多いが、
教育との結びつきが非常に強いことは、言うまでもない。



そんな発達心理学を、少しずつ学んでいこうと思う。




[参考]

図解雑学 発達心理学 ナツメ社 山下富美代・他
http://www.amazon.co.jp/%E7%99%BA%E9%81%94%E5%BF%83%E7%90%86%E5%AD%A6-%E5%9B%B3%E8%A7%A3%E9%9B%91%E5%AD%A6-%E5%B1%B1%E4%B8%8B-%E5%AF%8C%E7%BE%8E%E4%BB%A3/dp/481633212X

Wikipedia - 2009.05.18アクセス
http://ja.wikipedia.org/wiki/発達心理学




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